next up previous contents
Next: 辞書上で見た語義分解能 Up: 意味属性の語義識別能力 Previous: 意味属性を用いた訳語選択

検討対象

意味属性についての検討では、日本語内での語義分類と 日英を対比した場合の語義分類の違いを調べるとともに、 単語意味属性の持つ語義識別能力を明らかにするため、 以下の辞書を使用する。

(1)計算機用日本語基本名詞辞書IPAL

通産省の外郭団体である情報処理振興事業協会が作成した日本語辞書 であり、複数の言語学者により選定された日本語の基本名詞1,081語が 収録されている。それぞれの名詞は仮名表記を見出し語とし、複数の 日本語表記や語義など、見出し語ごとに詳細な情報が記述されている。

(2)ALT-J/E日英対照一般名詞辞書

NTTが作成した日英対照辞書。約60,000語の見出し語が収録されており、 それぞれの英訳語の持つ意味属性が辞書の情報として記載されている。 なお、この辞書はNTTが開発した「ALT-J/E」という機械翻訳システム で実際に用いられている。

(3)日本語語彙大系

岩波書店より出版されている全5巻からなる辞書で、日本語意味解析 のための単語体系や構文体系などが収録されている。今回の検討では、 これらの中でも「第1巻 意味体系」 に収録されている一般名詞意味属性体系を用いる。 これは、一般名詞に対して[具体]、[関係]など約2,700の属性に分け、 木構造としてまとめたもので、約30万語の名詞の意味的用法が 単語意味属性を用いて定義されている。

検討は、これらの辞書に収録されている名詞のうち、IPALの 辞書に登録されている日本語の基本名詞1,081語を対象に行う。 名詞は良く使われるものほど多様な意味を持っていると考えられるが、 IPALの辞書に収録されている日本語基本名詞を対象とすることで 特に多義の多い名詞を中心に検討を進めることができ、名詞の多義性解消 の検討として十分な結果が得られると期待できる。



kirisawa
2000-03-15