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意味属性を用いた訳語選択

現在、日本語動詞の英訳語選択に関しては結合価パターンを用いることで ほぼ決定することができるが、名詞の訳語選択に関しては、まだ 問題が残っている。そこで、この問題に対する解決法のひとつとして、 結合価パターンを用いた動詞選択を行う際、日本語文の解析の 結果として名詞に付与される「意味属性」を用いることで、 動詞の訳語を決定すると同時に名詞の訳語も決定できる 可能性がある。

「意味属性」とは、「ある単語が意味的にどんな使われ方をするか という意味的用法を整理し、体系化したもの」である。

単語の「意味的用法」は単語の語義から派生することを考えると、 実際に使用された文中での単語の「意味的用法」がわかれば、 その単語がどの語義で使用されたかを判断できる可能性がある。 したがって、単語意味属性は訳語選択に役立つと期待できる。

例えば、「犬」という日本語名詞には''dog''、''spy''という 2つの英訳語があり、それぞれ[獣]、[スパイ]という意味属性を 持つ。そこで、「犬」という単語が使われている日本語文を 解析し、その単語の意味属性が決定できれば対応する英訳語を 決定できる。すなわち、解析の結果「犬」の意味属性が[獣]と きまれば''dog''が、[スパイ]と決まれば''spy''が選択される。 一方、「えさ」という日本語名詞に対する英訳語''feed''、''bait'' は、双方とも[飼料]という意味属性を持つ。これは、日本語では 同義として扱うが英語では使い分けがあるために複数の英訳語が 対応する名詞であり、日本語から見た場合「意味的用法」に違いが ないため意味属性による訳し分けはできない。このような名詞に 関しては他の方法が必要となる。

なお、一般に意味属性は1つの単語に対して複数付与されているが、 今回の研究では日本語文の解析によって一意に決まると仮定して 検討を進める。



kirisawa
2000-03-15