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はじめに

自然言語の構文解析の方法として、従来から多くの研究が行われ、様々な方法が 提案されている。それらの中で、比較的自由な語順を取る日本語の構文解析の方 法としては、省略などに強い係り受け解析の方法が適していると考えられる。 日本語では、長い名詞句を含む名詞句の並列、従属節などの述語句が連結される ことによって長文になる傾向がある。したがって、構文解析において解析精度の 低下をさせる大きな原因として、並列を伴う名詞句、及び名詞句間の関係の曖昧 さと述語間の解析の曖昧さが問題となってきた。 並列を伴う名詞句については、文節間の類似度をマトリクスを利用して比較し抽 出する方法が長尾らによって提案され[4]、解析精度の向上が得られる 見込みとなった。 また、述語間の関係は、従属節の種類によっていくつかに分けることができる。 従属節は、主節の他に、連用節、連体節、引用節に分けることができこのうち係 り先の曖昧さが特に問題となるのは連用節から連用節へ、または引用節、連用節 から連体節への係り受けである。 前者については、南の従属節分類[2,3]を読点、動詞の種類な どによって拡張した方法[5]が提案され、述語間の係り受け解析の精 度も飛躍的に向上したと言える。しかし、後者については、述語同士は比較的自 由に繋ぐことができ、連体節が様々な形式の用言を包含することができるため、 述部のみに着目した表層情報による規則では十分な効果が得られていなかった。 また、連体節の場合、従属節の要素は要素数、種類のどちらもが多く、いずれの 節内の要素も述語によって左右される。 ところで、係り受け関係にある連用節と連体節では、格要素や底の名詞が動作主 や対象として両者の用言と関係を持っていると考えられる。したがって、連用節 と連体節の各々の動詞と格要素や底の名詞の意味の組合わせによって、係り受け 関係を判定できる可能性がある。 そこで、本論文では用言の用法と要素となる名詞の意味に着目し、連用節から連 体節への係り受け解析手法を提案する。

asano
2000-03-15