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はじめに

音声合成は古くから規則合成方式が研究されてきた.しかし,規則合成方式は音 声を合成するときに信号処理が必要である.これが品質を低下させる原因になっ ている.

そこで音質劣化の原因とされる信号処理を出来るだけ使用しないCHATR[1]が提案 された.CHATRは合成したい話者の音声をあらかじめ録音しておき,そこから部分的に切 り出した音声波形を接続して音声を合成する方法である.しかし,このCHATRは音 素波形を選ぶ際に信号処理を使用するため,最良の波形が選択されない場合があ る.

そこで,CHATRとよく似た手法として音節波形接続方式[2]が提案されている.この手法 は,言語情報のみを利用して音節波形を選択する.そのため,音声を合成する際 に信号処理を一切使用しない.

この手法は,過去の研究において,固有名詞,普通名詞,文節(短文節)を対象として行われた.その結果,品質の高い合成音声が得られることが報告されている[3][4][5].

しかし,この手法は文節(短文節)における音声合成において1話者のみでしか行われ ていない.またフレーズ(長文節)における有効性が確認されていない. そこで本研究は,この2つの問題点について調査を行う.



Jin'ichi Murakami 2008-08-23