かな漢字変換は、自然言語処理研究の一つの分野として従来から多 くの方法が研究されている。これらの方式は、単語を構文的、意味 的に分類して、これらを接続ルールや係受け情報などのルールで記 述しておくことによって、かなから漢字かなまじり文に変換される ときに生成される曖昧性を減らしている。しかし、実際の文章では 単語の多品詞性や曖昧な係受けなどが存在するために、正確なルー ルを書くことは困難であり、そのためかな漢字変換の問題点が完全 に解決されたとは言いがたい。
一方、言語処理は音声認識の分野においても認識性能の向上をめざ して研究がされている。そして、この分野では言語の統計的手法、 特にマルコフモデルが有効であることが実験的にしめされている [1][2]。 そこで、本論文では漢字かなのマルコ フモデルをもちいたかな漢字変換方式を提案し、これの変換精度を 調べた。この結果、漢字かなの2重マルコフモデルを使用したとき、 オープンデータで88%クローズドデータで98%の高い変換精度が得 られることが示された。