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音韻間の解析

各話者における音韻毎の音素境界位置の精度を調べた.MAUの場合を表6, FTKの場合を表7に示す.なお,いずれも音響モデルはFull-covariance HMMを使用した.実験条件は表3と同等である.

これらの表6 $\sim$ 7をみると,特に母音 と母音の音素境界位置の精度が良くなっていることがわかる.母音と母音の音 素境界位置の標準偏差は,男性話者では約14.8ms $(54.52-40.05)$ 向上し, 女性話者では約27.8ms $(70.98-43.73)$ 精度が向上した.しかし,他の音素 境界においては精度の向上はあまり見られない.

この理由として,母音にはピッチが含まれるため,モーラ情報を利用すること により,ピッチの影響が分離できるのに対し、子音では,ピッチがないため, モーラ情報を使用しても効果がなかったと考えてられる.


Phone Boundary Positions - MAU - (Full)
表: MAUの音韻間の音素境界位置(Full)
  モーラ無し モーラ有り
音素間 調査音素数 標準偏差 調査音素数 標準偏差
  $n$ $ \sigma_p (ms) $ $n$ $ \sigma_p (ms) $
母音-母音 1351 54.03 1266 40.87
母音-半母音 846 11.51 735 13.52
母音-鼻音 442 9.88 402 10.05
母音-無音 2470 16.36 2322 21.01
母音-摩擦音 579 15.42 513 16.80
母音-促音 565 17.00 554 27.76
母音-有声破裂音 462 12.26 419 13.45
母音-無声破裂音 1175 12.73 1084 11.29
半母音-母音 1400 15.40 1271 15.55
鼻音-母音 756 15.32 700 18.09
無音-母音 339 8.15 303 7.87
摩擦音-母音 1265 17.20 1171 18.12
促音-母音 12 37.94 12 20.61
有声破裂音-母音 700 14.88 650 17.81
無声破裂音-母音 2036 12.10 1890 12.94


Phone Boundary Positions - FTK - (Full)
表: FTKの音韻間の音素境界位置(Full)
  モーラ無し モーラ有り
音素間 調査音素数 標準偏差 調査音素数 標準偏差
  $n$ $ \sigma_p (ms) $ $n$ $ \sigma_p (ms) $
母音-母音 1350 60.76 1272 40.77
母音-半母音 846 13.77 744 15.23
母音-鼻音 442 7.99 399 9.57
母音-無音 2470 15.68 2326 18.52
母音-摩擦音 579 23.91 516 23.89
母音-促音 565 16.59 554 20.43
母音-有声破裂音 462 11.43 417 12.04
母音-無声破裂音 1174 17.39 1083 16.27
半母音-母音 1415 15.16 1295 17.06
鼻音-母音 756 18.79 698 17.47
無音-母音 339 8.16 302 7.88
摩擦音-母音 1256 15.73 1165 16.27
促音-母音 12 49.47 12 28.24
有声破裂音-母音 699 12.14 647 13.19
無声破裂音-母音 2037 14.60 1895 15.72


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平成15年12月22日