尤度とは,ある前提条件に従って結果が出現する場合に、逆に観察結果からみ て前提条件が「何々であった」と推測する尤もらしさを表す値である. HMMに おける尤度とは,入力シンボル系列とHMMのパラメータが与えられたとき,取り 得る全ての状態系列を考慮したときに,HMMが入力シンボル系列を出力する確率 である. Model A において,入力シンボル系列の尤度の計算は,以下のように 計算できる.
まず,入力シンボル系列を出力できる状態遷移を表4に載せる. 全部で3種類ある.
それぞれの状態遷移における入力シンボル系列の確率を表に示す.
尤度は,これらの状態遷移における確率を,すべて合計した値 である.
この例では,入力系列のシンボルの数が4つ ( )であるため,取り得る状態 系列の数は3つである.しかし.入力系列のシンボルの数が多くなると,取り得 る状態遷移の数は,急激に増加する.そして,取り得る状態遷移の数は,入力 系列のシンボルの値に関係なく,シンボルの数だけで決まる.例えば,入力系 列のシンボルの数が6つ(例えば )にな ると,取り得る状態遷移の数は10になる.