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概要

現在,機械翻訳システムの分野において,対訳データから自動的に翻訳モデル と言語モデルを獲得し,翻訳を行う統計翻訳が注目されている.翻訳モデルで は,原言語の単語列から目的言語の単語列への翻訳を,フレーズテーブルで管 理する.しかしフレーズテーブルはプログラムで自動作成するため,カバー率 は高いが信頼性は低いと考えられる.一方,手作業で作成した翻訳対は,信頼 性は高いがカバー率は低いと考えられる.そこで,それぞれの長所を生かすた めに,プログラムで自動作成したフレーズ対に手作業で作成した翻訳対を追加 することで翻訳精度が向上すると考えた.

実験では,手作業で作成された約13万の翻訳対に翻訳確率を与え,プログラム で自動作成したフレーズテーブルに追加した.翻訳実験の結果,BLEUスコア が,日英翻訳の単文では0.9%,重複文では0.8%向上した.また人間による対 比較実験を行ったところ,有効性が確認された.

以上の結果から,統計翻訳において手作業で作成した翻訳対を追加する提案手 法は有効であることが示された.



Jin'ichi Murakami 平成22年9月2日