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(3)文型パターン種別と被覆率特性の関係

5の結果について,その内訳を調べるため,単文レベルの文型パターンについて文種毎の「文型再現率$R1$」を求め,その結果を表6に示す.


1.5
表 6: 文種別毎に見た単語レベルの文型再現率$R1$
文種別 全体
文型再現率$R1$ 70.1% 63.2% 71.8% 65.2% 65.8% 69.8%

この表から,単語レベル,句レベル共に,「文型再現率$R1$」は文種別に依存せず,ほぼ一定であり,バランスの良い標本集合となっていることが分かる. ところで,直感的に言えば,文種別2,4,5は,述部を3つ持つ重文,複文を対象としたものであるから,表現は,述部数2の文種別1,2に比べてさらに複雑で,多様だと予想される. しかしながら,これらの文種別で作成された文型パターン数は,文種別1,3の場合の1/5〜1/10程度となっており(表5),逆に,かなり少ない. このように,より多様と思われる述部3以上の表現が,述部2の場合よりも少ない文型パターンで同じ程度カバーされることから,構文構造を考えたとき,日本語表現では,述部数が増えてもその割に表現構造の多様性が増加するわけではないと推定される. これは,文型パターン方式の可能性を期待させるものと言うことができる[*]



平成16年11月17日