まず, 「憎い」「いとしい」に関して考察する. 「憎い」「いとしい」は置き換え可と判断された割合は0.40(12/30)である. 表5.15に機械学習の性能を示す.表5.16に機械学習が参考にした素性を示す.
憎い | いとしい | ||
素性 | 数値 | 素性 | 数値 |
素性1:犯人 | 0.9936 | 素性1:妻 | 0.9739 |
素性2:が | 0.9714 | 素性1:娘 | 0.9559 |
データ数が少なかったのであまり有用な素性が得られなかった. 有用な素性としては,「憎い」は直前に「が」が来て「…が憎い」という表現や「犯人」などが見られた.
置き換え可の値が低くなってしまった原因としては,多義性により,「憎い」の文中内での対義語が「いとしい」ではなく「好ましい」と判断されたものがあったため置き換え可の値が低くなったと考えられる.使い方に関しては,よく使われる慣用的な表現もなく,文法的な使い方の違いもなかった.
次に「固まる」「溶ける」に関して考察する. 「固まる」「溶ける」は置き換え可と判断された割合は0.10(3/30)である. 表5.17に機械学習の性能を示す.表5.18に機械学習が参考にした素性を示す.
固まる | 溶ける | ||
素性 | 数値 | 素性 | 数値 |
素性1:意見 | 0.8270 | 素性1:輝き | 0.9799 |
素性1:考え | 0.7582 | 素性1:疲れ | 0.6145 |
「固まる」「意見」や「考え」が「固まる」という表現や, 「集まる」の意味の「固まる」といった表現のような, 「溶ける」の対義語ではない使われ方がされていた. 以下に例文を示す.
置き換え可の値が低くなってしまった原因としては,「固まる」は「集まる」や「決まる」といった「溶ける」の対義語ではない使われ方が多くされていたためと考えられる.
分類分けが高で置き換え可の値が高かったものとして「沸かす」「冷やす」と「憎い」「いとしい」と「まだ」「もう」を考察した.その結果,分類分けが低だが置き換え可の値が低かったものの特徴として,佐々本ら[]と同様に以下のようなものが見られた.