調査した類義語対は,性質によってAからDに分類し,分類方法は表2.1の通りである.
分類 | 性質 | 例 |
A | 外来語を一方にもつ類義語対 | デパートと百貨店 |
B | 旧式語を一方にもつ類義語対 | 婚礼と結婚式 |
C | 日常語と文章語の類義語対 | 双生児とふたご |
D | その他 | 通信簿と通知表 |
調査結果を例として,選択の差が一番顕著に見られたのが年齢による区別で, 選択の差があった類義語対としては「プレゼント」と「おくりもの」があった. この対は,若い世代へ移るほど「プレゼント」の割合が増加している傾向にあった. 性別での差が見られた類義語対としては「後家」と「未亡人」という対があり, 男性のほうが「後家」を用いる傾向にあり,女性は「未亡人」を使用する傾向にあった. また地域で差があった類義語対としては,それほど大きな差がみられた類義語対はなかったが, 挙げるとすれば「車庫」と「ガレージ」という対で,大阪では「ガレージ」が用いられる傾向にあり, 東京では「車庫」が用いられる傾向にあった.
この先行研究は,類義語の使い分けの調査という点では本研究と類似している部分がある. しかし先行研究は,人手によるアンケート調査であり, 機械学習により類義語の使い分けを自動で推定する本研究とは違った角度からのアプローチである.