サポートベクトルマシン法は, 空間を超平面で分割することにより 2つの分類からなるデータを分類する手法である. このとき,2つの分類が正例と負例からなるものとすると, 学習データにおける正例と負例の間隔(マージン)が 大きいもの(図3.2参照)ほど オープンデータで誤った分類をする可能性が低いと考えられ, このマージンを最大にする超平面を求め それを用いて分類を行う. 基本的には上記のとおりであるが,通常, 学習データにおいてマージンの内部領域に 少数の事例が含まれてもよいとする手法の拡張や, 超平面の線形の部分を非線型にする拡張(カーネル関数の導入)がなされたものが 用いられる. この拡張された方法は,以下の識別関数を用いて分類することと等価であり, その識別関数の出力値が正か負かによって 二つの分類を判別することができる[11,12].
サポートベクトルマシン法は 分類の数が2個のデータを扱うもので,通常これに ペアワイズ手法を組み合わせて用いることで, 分類の数が3個以上のデータを扱うことになる[13].
ペアワイズ手法とは,N個の分類を持つデータの場合, 異なる二つの分類先のあらゆるペア(N(N-1)/2 個)を作り, 各ペアごとにどちらがよいかを2値分類器(ここでは サポートベクトルマシン法)で求め, 最終的にN(N-1)/2個の2値分類器の分類先の多数決により, 分類先を求める方法である.
本稿のサポートベクトルマシン法は, 上記のようにサポートベクトルマシン法とペアワイズ手法を 組み合わせることによって実現される.