次に,両方向の対応付けからヒューリスティックスなルールにより,1対多の対応を認めた単語対応の計算を行う.ここで,ヒューリスティックとは人間の日々の意思決定類似した直感的かつ発見的な思考方法である.基本のヒューリスティックとして``intersection''と``union''がある.intersectionは,日英方向と英日方向の両方向に単語対応が存在する場合にその単語対応を残す.unionは日英方向と英日方向のどちらか一方に単語対応が存在する場合にその単語対応を残す.intersectionの例を表2.4に,unionの例を表2.5に示す.
またintersectionとunionの中間のヒューリスティックスとして``grow''と``grow-diag''がある.これら2つのヒューリスティックスではintersectionの単語対応とunionの単語対応を用いる.growは縦横方向,grow-diagは縦横対角方向に,intersectionの単語対応からunionの単語対応が存在する場合にその単語対応も用いる.growの例を表2.6に,grow-diagの例を表2.7に示す.
grow-diagの最終処理として``final''と``final-and''がある.finalは少なくとも一方の言語に対応がない場合に,unionの単語対応を追加し,final-andは両言語単語に対応がない場合に,unionの単語対応を追加する方法である.grow-diag-finalの例を表2.8に,grow-diag-final-andの例を表2.9に示す.
得られた単語対応うち,矛盾しない全ての対訳句を得る.このとき,対訳句に対して翻訳確率を計算し,対訳句に確率値を付与することでフレーズテーブルを作成する.