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論文において研究成果や研究の必要性・有効性などの記載すべき情報が記載されていない場合, 研究の内容が読者に伝わり難いという問題が発生する. 本研究では, そのような記載不備のある論文に対して文章作成支援を行うことを目的とする.
記載不備論文の文章作成支援のプロセスには, 「1. 記載不備論文の検出」と「2. 記載不備論文の修正」が考えられる. 記載不備論文の検出を扱う研究として岡田ら[1]の研究が挙げられる. 岡田ら[1]は, 論文に記載すべき情報を「記載必要項目」と定義し, それらの情報が欠落している論文の自動検出法としてルールベース手法を提案している. 論文の記載必要項目と記載必要項目の検出に役立つ単語を決定し, その検出に役立つ単語が一つも出現していない論文を記載必要項目が欠落している論文であるとして自動で検出を行っている.
先行研究[1]の問題点として以下の2点が考えられる.
- 他の記載不備論文の検出手法との性能比較を行っていないため, 先行研究の提案手法の有効性が確認できない.
- 「記載不備論文の修正」について扱っていないため, 記載不備論文の文章作成支援として不十分である.
これらの問題点の解消に向けて, 本論文では, 以下の研究を行う.
- 機械学習を利用した記載不備論文の自動検出手法と先行研究[1]の提案手法の比較を行い, 先行研究[1]の有効性を確認する.
- 記載不備論文を人手で修正し, 修正した部分の分析を行う. 修正部分の分析を行うことで, 記載不備論文の修正に役立つ修正パターンを獲得する. 獲得した修正パターンを利用して, 記載不備論文の修正支援となる技術を構築する.
本研究の主な主張点は以下である.
- 記載不備論文の自動検出において, ルールベース手法と機械学習手法を比較すると, ルールベース手法のほうが検出精度が高く, 先行研究の有効性が確認できた.
- 単語連続の頻度調査と階層クラスタリングによる分析で, 多くの論文修正に役立つ修正パターンが獲得できることが分かった.
- 階層クラスタリングよりも単語連続の頻度調査のほうが単純でより良い修正パターンが獲得できることが分かった.
- 獲得できた修正パターンを使って, 記載不備論文の著者に対して修正パターンをヒントとして掲示することで論文の文章作成支援を促す方式を考案した.
2017-02-24