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概要

近年,体験型観光が注目されている. 鳥取県においては,農業と観光の連携がその一つであり,たとえばフルーツ狩りが挙げられる. しかし,フルーツ狩りそのものにかかる時間は長くはない.フルーツ狩りの前後の時間帯にも何かしらの関連する観光イベント があれば,旅行のボリュームが増し,旅行者の満足度が高まると予想される.ゆえに,フルーツ狩りなどを基本テーマとして, それに関連する行動を多くの観光事例から分析することが必要となる.

ここで,旅日記のブログ記事に注目すると,個人の体験談や旅行の感想が 多々記述されており,旅行者の行動分析の対象となるといえる.しかし, 行動分析の際,体験談以外の記述,たとえば,ブログ友達への近況報告な どは,不必要である.そこで,ブログ記事から体験情報のみを取り出すことができれば,行動分析が容易になると考えられる.

先行研究によると,観光開発の発想支援としてブログ文の自動抽出の方法が示されている[1].しかし,その方法では, 行動以外の情報を参照して観光地の分析を行っているため,本研究で焦点をあてている分析とは異なる. 本研究では,行動の情報を得ること,その種類の把握,および,基本となるテーマとの前後関係を分析したい. そこで本研究では,まず,体験表現の抽出技術を用いることにする.次に,類似行動を分類するため, クラスタリング手法を導入する.最後に,クラスタの内容を概観するために,キーワード抽出手法も導入する.

以上について,入力テーマに関連する行動を分析する「行動推移分析支援システム」を開発した. その結果,関連行動を,適合率0.47,再現率0.69,F値0.56という性能で抽出ができた. 本システムの行動抽出を使用せずに,クラスタリングとキーワード抽出のみを使用した場合と比較すると, 本抽出使用時の方が不必要な文が除去されており,分析が行いやすかった. したがって,観光事例から旅行者の行動を分析する有効な手法が開発できたといえる.



平成24年3月13日