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はじめに

人は日々感動を求め,感動によって動かされる生き物である.また,人間の英知は文という形で記録,保存され,後世に受け継がれていく. 本研究では感動を与える文を作成する際に役立つ知見を収集することを目的とし,本研究の成果は名文作成支援システムの構築に役立つ.名文の作成支援は,感動を与える演説をする必要のある政治家の原稿作成の際にも有用である.石岡ら[1]は毎日新聞の社説およびコラムを学習し,採点を行う日本語小論文の自動採点システムを構築したが,感動に対する評価をは行われていない.そこで本研究では「感動」と「文」に重きを置き,読み手の感情を推定し感動を与える文に関する研究を行う. 具体的には以下のことを行う.
  1. 感動を与える文の収集
    まず,感動を与える文を人手で収集する.感動を与えない文も人手で収集する.これらを用いて教師あり機械学習により,ウェブ文書からさらに感動を与える文を収集する.
  2. 収集した感動を与える文の分析
    収集した感動を与える文を分析する.感動を与える文で多く使われる単語を収集することで,感動を与える文の言語的特徴を明らかにする.
読み手や聴き手となる人に感動を与えることで,良い印象を与える可能性が高まる.本研究は名文や感動を引き起こす文における計算言語学的特徴の追求を目指す.

本論文の構成は以下の通りである.第2章ではこれまでの関連する研究を説明する. 第3章では本研究における,感動を与える文の判定方法と判定に利用する技術を説明する. 第4章では,感動を与える文の自動判定とその評価を行う. 第5章では,考察を行い効果的な利用法を考察する. 第6章ではまとめを行う.



eki takashi 平成24年3月13日