next up previous contents
次へ: 謝辞 上へ: sotsuron 戻る: 情緒推定精度の実験結果について   目次

おわりに

本研究では,判断条件で扱われている名詞変数を名詞句変数に拡大することで,格要素に係る修飾語句の評価極性を「好評極性」,「不評極性」および「極性なし」の3分類で捉え,それらを利用することで,修飾語句の意味に合わない情緒の推定を抑制するという改良を行った.

名詞句で評価極性を算出する際には名詞句を分解して算出することで,算出率を向上させることができた.また,分解して評価極性を算出する手法の精度を評価した結果,分解しても分解前に近い評価極性が得られそうであることを確認した.

そして,名詞句の評価極性を用いた情緒推定の性能を評価した結果,テスト文270文に対し,従来手法(判断条件を不使用)で出力された情緒469個のうち一致したものは103個となった.一方,提案手法で出力された情緒465個のうち一致したものは103個となった.提案手法により4個の情緒の出力が抑制され,従来手法に比べて精度が向上した.しかし,その向上は0.220から0.222という結果で,精度の向上はわずかであった.今後の課題は,本手法を,より複雑な文に適応させることである.



Sho Takemoto 平成24年3月13日