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付与マニュアル

付与段階で出た問題をもとに付与マニュアルを作成し,付与に揺れがでることを避けた.以下に付与マニュアルを記載する.

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l]全用言意味属性
  • 可能性のあるものには複数事態構成要素を付与している.
  • 格要素の種類により付与すべき事態構成要素が変化する可能性がある.その場合,当てはまるもの全てに付与することを定義する.
  • 詳細情報有りフラグは以下の2点について付与している.
    1. より詳細な事態構成要素を付与できる可能性のあるもの.
    2. 付与に関して多少揺れのあるもの、場合によって違う付与も考えられるもの.
  • 用言は事態構成要素の付与対象としない.

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l]「2状態」 「2状態」は用言が``状態''を表している.従って,その``状態''の補足が「状況」であると考える.
  • 状態を表す用言と「状況」が被る場合は「状況」は付与しない.
    • 各要素が1つで結合価パターンが構成されている場合,用言=「状況」となる場合が多い.
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l]主な具体例 #8652 用言:「生活する」 パターン:「$N1$が生活する」

                事態構成要素属性: 状態主:$N1$,状況:-

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l]「16行動」
  • 行動を表す動詞と「行為」が被る場合は「行為」を付与しない.

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l]「7相対関係」
  • どのような「関係」があるかが用言に記されていることが多いため,「関係」が付与できない場合が多い.
  • 「関係」を表す語に付随する用言がマイナス表現の語である場合には「関係」の要素に付与をおこなわない.
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l]主な具体例 #11624 用言:「敵対する」 パターン:「$N1$$N2$に敵対する」

                事態構成要素属性: 関係:-,関係物1:$N1$,関係物2:$N2$

このパターンの場合,$N1$$N2$の「関係」が``敵対''である.したがって,用言に「関係」が表される.

#1707 用言:「薄い」 パターン:「$N1$$N2$と/との縁が薄い」

                事態構成要素属性: 関係:-,関係物1:$N1$,関係物2:$N2$

たとえば,用言意味属性が「7相対関係」であり,用言「ある」にパターン「$N1$$N2$と/との縁がある」が存在する場合,事態構成要素属性は「関係:縁,関係物1:$N1$,関係物2:$N2$」となる.しかし,用言が「薄い」であるため,「縁が薄い」からは「関係物1」と「関係物2」には関係がないことを表している.そのため,ここでは「関係」に付与をおこなわないことが自然であると判断した.

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l]「10知覚状態」
  • 用言と「状態」が被る場合は「状態」の要素の付与をおこなわない.
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l]主な具体例 #1290 用言:「痛い」 パターン:「$N1$(人)は $N2$(消化器,腹)が 痛い」

                事態構成要素属性: 身体主:$N1$,身体部分:$N2$,状態:-

用言「痛い」が「状態」であるため,付与をしていない.

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l]「12思考状態」
  • 「状態」を表す語に付随する用言がマイナス表現の語である場合には「状態」の要素に付与をおこなわない.
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l]主な具体例 #805 用言:「ある」 パターン:「$N1$(主体)が $N2$(*)に $N3$(``関心'') が ある 」

                事態構成要素属性: 状態主:$N1$,状態:$N3$,思考対象:$N2$

#12866 用言:「無い」 パターン:「$N1$(主体)が $N2$(*)に 関心 が 無い 」

                事態構成要素属性: 状態主:$N1$,状態:-,思考対象:$N2$

#805と#12866の構成要素は同じであるが用言によって意味が逆転しているため上記の付与となっている.なお,変数化されていない構成要素にも付与を行なうこととしている.

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l]「14身体状態」
  • 用言と「状態」が被る場合は「状態」の要素の付与をおこなわない.
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l]主な具体例 #15527 用言:「不健康だ」 パターン:「$N1$(人,動物)が 不健康だ 」

                事態構成要素属性: 身体主:$N1$,身体部分:-,状態:-

用言が「状態」を表しているため,「状態」は付与していない.

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l]「19所有的移動」
  • 起点または着点が複数ある場合は時間軸上で視野を狭くとるか広くとるかで変化する.
  • 現在可能性のあるものには「起点」「着点」ともに複数付与している.
  • 格要素省略の有無により所有主が変化する.

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c]主な具体例

#1471 用言:「入れる」 パターン:「N1がN2にN3を/としてN4入れる」 

                事態構成要素: 移動物:N4,起点:N1,着点:N2

(ex:母が息子に仕送りとして5万入れる

このパターンでは英語パターンを頼りに,実際に移動しているものはN4であり,N3はN4の詳細説明であると判断し付与している.

#2601 用言:「落とす」 パターン:「N1が N2を N3で 落とす」 

                事態構成要素: 移動物:N2,起点:N1,N3,着点:−

(ex:社長が接待費を費用で落とす であったら全ての費用は会社のものであるので起点が「社長」となっても自然だが、

(ex:社員が接待費を費用で落とす であったら、費用は社員のものではないのでN1が必ずしも「起点」になるとは限らない.

このため,どちらの可能性もあるとして,2つの変数に起点の付与を行なっている.

#13478 用言:「成る」 パターン:「N1が N2の スポンサーに 成る」 

事態構成要素: 移動物:−,起点:N1,着点:N2

N1=スポンサーとなり「スポンサー」自体はN1の詳細説明とみなし,今回は起点をN1とした. なお,このパターンでの移動物は「お金」そのものと解釈している.

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l]「29精神的移動」
  • 移動物が精神物(願望の気持ち)である場合、結果として物の移動は見られないが何らかの精神物の移動は見られる場合がある.その場合,移動物に``int''を付与する.
    • 「尋ねる」「頼む」「委ねる」「頼る」などの意味がある場合,全て該当する.
      • のちに着点→起点に何らかの移動物が生じることを意味する.
  • 移動物は用言に依存する場合があるため,その場合は付与を行わない.
    • 移動物は上記のような様々な問題があるため,付与に多少の揺れがある.
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l]主な具体例 #18040 用言:「要求する」 パターン:「$N1$(主体)が $N2$(*)を $N3$(主体)に 要求する」

                事態構成要素属性: 移動物:int,起点:$N1$,着点:$N3$

「要求する」の段階ではまだ実際に$N2$の移動は見られない.しかし,$N1$から$N3$への意思表示は見える.よって,この段階では「移動物」には``int''を付与している.今後,$N3$から$N1$への「要求」に対する返答があると考える.たとえば,この返答が「要求」に対して``Yes''の返答であれば,「移動物:$N2$,起点:$N3$,着点:$N1$」となる.

#18500 用言:「連絡する」 パターン:「$N1$(主体)が $N2$(主体)に $N3$(電話)で 連絡する」

                事態構成要素属性: 移動物:-,起点:$N1$,着点:$N2$

この場合,何らかの「連絡」が「移動物」になる.したがって,「移動物」が用言に依存しているため「移動物」の付与は行わない.なお,$N3$は「移動物」の「移動手段」であると考える.これは事態の必須要素としていない.

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l]「30知覚動作」
  • 知覚動作をおこなった者が2者いた場合,両者の「知覚動作」を表すため``;''で2セットの記述を行なっている.
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l]主な具体例 #21 用言:「合う」 パターン:「$N1$(人)が $N2$(人)と 目が 合う 」

                事態構成要素属性: 身体主:$N1$,身体部分:目,知覚対象:$N2$;身体主:$N2$,                                身体部分:目,知覚対象:$N1$

$N1$$N2$と目が合う」ということは$N2$も``目''で$N1$を知覚していることになるため,両者の立場で付与を行う.

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l]「34可能」
  • 「可能動作」が用言に依存している場合は付与しない.
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l]主な具体例 #17609 用言:「休める」 パターン:「$N1$(人)が $N2$(組織)を 休める 」

                事態構成要素属性: 可能動作:-,動作主:$N1$

「休む」という動作が可能であるので,「可能動作」には付与は行わない.


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root 平成23年3月21日