step1
まず,「物理的移動」の属性名からは事態に``移動''がみられる.そのため,``「何が」移動したのか'',``「どこから」移動したのか'',``「どこまで」移動したのか''の要素が考えられる.そこで,一般形として「``何''が ``どこ''から ``どこ''まで 移動する」と仮定する.この仮定から,必須構成要素を「移動した者」,「移動元」,「移動先」の3要素とする.
step2,step3
次に,用言意味属性が「18物理的移動」である結合価パターン数件に対して,仮定した3要素を実際に付与する.たとえば,図4.1に抽出した数件の結合価パターンを示し説明する.
まず,#119の結合価パターンと意味属性の情報から「移動した者:
同様に,#120,#551,#552,#603を付与する.その結果,#120は「移動した者:,移動元:-,移動先:
」,#551は「移動した者:
,移動元:-,移動先:
」,#552は「移動した者:
,移動元:-,移動先:
」,#603は「移動した者:
,移動元:-,移動先:-」と付与した.
ここで,問題としてあがるのが#282,#560,#580のに移動した者を操作した人物が
描かれていることである.たとえば,#560であれば「
が
へ集まっている」ので移動した者が
であり,移動先が
である.実際には「
のはたらきかけにより
が
へ集まっている」が
は必ずしも移動しているとは限らない.このため,仮定した必須構成要素では表現できず,
は事態にとって必ずしも必須でないと判断し付与はおこなわない.そこで,#282は「移動した者:
,移動元:-,移動先:
」,#560は「移動した者:
,移動元:-,移動先:
」,#580は「移動した者:
,移動元:-,移動先:
」と付与した.
step4
仮定した3要素で一様な付与がおこなえたため,要素の命名に移る.おおまかな要素での付与はおこなえそうであるが,移動する者にあたる変数の意味属性には``人''である場合,``動物''である場合,``物''である場合があるため全てを満す``移動主''と命名した.``移動元''と``移動先''は竹内らの意味役割より``起点''と``着点''の表現が相応しいとした.
step5
「18物理的移動」の事態構成要素属性は「移動主,起点,着点」と定義した.