next up previous contents
次へ: 定義結果 上へ: 事態構成要素属性 戻る: 定義方法の補足   目次

定義の様子

定義の様子を以下に示す.用言意味属性「18物理的移動」を例に説明する.

step1

まず,「物理的移動」の属性名からは事態に``移動''がみられる.そのため,``「何が」移動したのか'',``「どこから」移動したのか'',``「どこまで」移動したのか''の要素が考えられる.そこで,一般形として「``何''が ``どこ''から ``どこ''まで 移動する」と仮定する.この仮定から,必須構成要素を「移動した者」,「移動元」,「移動先」の3要素とする.

step2,step3

次に,用言意味属性が「18物理的移動」である結合価パターン数件に対して,仮定した3要素を実際に付与する.たとえば,図4.1に抽出した数件の結合価パターンを示し説明する.

図: 結合価パターン抽出例
\begin{figure}\scriptsize
\begin{center}
\begin{tabular}{rll}
\hline
\multicolum...
...3 & N1は 後戻りする & N1(3主体) \\ \hline
\end{tabular}
\end{center}\end{figure}
まず,#119の結合価パターンと意味属性の情報から「移動した者:$N1$,移動元:-,移動先:$N2$」と付与した.これは,$N1$の意味属性``鳥''より$N1$は移動した者を指す場合が多いと考えた.移動元は,この結合価パターンには描かれていないと判断した.これは,$N2$の意味属性``空''より,この結合価パターンは「$N1$が空へ向かっている」と同等の意味を持つと捉えた.したがって,$N2$は移動先にあたると判断した.

同様に,#120,#551,#552,#603を付与する.その結果,#120は「移動した者:$N1$,移動元:-,移動先:$N2$」,#551は「移動した者:$N1$,移動元:-,移動先:$N2$」,#552は「移動した者:$N1$,移動元:-,移動先:$N2$」,#603は「移動した者:$N1$,移動元:-,移動先:-」と付与した.

ここで,問題としてあがるのが#282,#560,#580の$N1$に移動した者を操作した人物が 描かれていることである.たとえば,#560であれば「$N2$$N3$へ集まっている」ので移動した者が$N2$であり,移動先が$N3$である.実際には「$N1$のはたらきかけにより$N2$$N3$へ集まっている」が$N1$は必ずしも移動しているとは限らない.このため,仮定した必須構成要素では表現できず,$N1$は事態にとって必ずしも必須でないと判断し付与はおこなわない.そこで,#282は「移動した者:$N2$,移動元:-,移動先:$N3$」,#560は「移動した者:$N2$,移動元:-,移動先:$N3$」,#580は「移動した者:$N2$,移動元:-,移動先:$N3$」と付与した.

step4

仮定した3要素で一様な付与がおこなえたため,要素の命名に移る.おおまかな要素での付与はおこなえそうであるが,移動する者にあたる変数の意味属性には``人''である場合,``動物''である場合,``物''である場合があるため全てを満す``移動主''と命名した.``移動元''と``移動先''は竹内らの意味役割より``起点''と``着点''の表現が相応しいとした.

step5

「18物理的移動」の事態構成要素属性は「移動主,起点,着点」と定義した.







Subsections

root 平成23年3月21日