次に,本手法による読書支援の有効性を人手による考察によ り調査した. その結果45件中10件 の割合で本手法が有効である事例を発見した.
本手法に関する評価実験を3種類行った. 評価実験1で本手法による本文中での重要単語出現箇所の把握速度向上を確 認した. 次に,無作為に選んだ記事について本手法が読書支援に役立つかを 調べる実験として,設問を利用した実験(評価実験2)を行ったが, 本手法の効果は確認できなかった. 最後に,人手による考察で本手法が有効と判断された記事について, 評価実験2と同様な実験(評価実験3)を行ったが, 本手法の効果は確認できなかった. これらの実験から,本手法が実際の読書支援に有効である ことは確認できなかったが,少なくとも, 本手法が本文中での重要単語出現箇所の把握速度向上に役立つことは 確認できた.
今後の課題としては,本手法による重要単語出現箇所の 把握速度向上が実際の読書支 援につながることを確認する他の種類の実験を考案し, 試みることが考えられる.
また,より読者に役立つ支援として, 特定の重要単語のみに着目し,その重要単語を 強調表示するのではなく,その重要単語を 集中的に記載している段落に対して, その重要単語について記載している段落である ことを意味するタグを付与することが 考えられる.