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概要

近年では,自動的に翻訳システムを構築できる統計翻訳が注目されている. 統計翻訳では,文全体の構造は解析しないため,言語間の文法構造が相違してい るときには翻訳精度が低い傾向があり,言語間の文法構造が類似しているときに は翻訳精度が高い傾向がある.
そこで本研究では,言語間の文法構造が類似しているときには翻訳精度が高くな る統計翻訳の長所を効果的に用いる.そのために,まず前処理として,文法構造を大き く変換する必要がある文に対しても,英語の文法構造に類似した文を出力するこ とができるルールベース翻訳で日英翻訳を行なう.次に,英英統計翻訳を行なう ことで翻訳精度の向上を試みた.結果として,BLEUスコアとMETEORスコアが向上 し,本研究の有効性が確認できた.しかしながら,重文複文において,ルールベー ス翻訳のみの出力文と提案手法の出力文に対して,対比較評価したとき に,提案手法の方が悪い結果となった.これは前処理において,英語の文法構造 に類似させることができなかったことが原因であると考えている.
今後は,重文複文に対しても,英語の文法構造に類似させることができる前処理 の方法を調査することを考えている.



平成22年2月11日