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おわりに

本研究では,人物補完型情緒推定を提案し,知識ベースの設計および人物補完型システムの実装 を行なった.

まず人物補完型情緒推定の手法として,「人物の存在」,および「人物から見たオブ ジェクトの価値」の仮説を立てることによって原理を展開していき,文に描かれていない人物の情緒を推定する方法を提案した.

次に具体的な語彙知識と情緒推定一般規則からなる知識ベースの設計を行い, 従来手法の設計思想と比較を行った.従来手法は1つの語彙知識に情緒 推定の一般規則に相当する情報が盛りこんでいる.人物補完型情緒推定の場合, そのための情報を盛り込むと,1語彙知識につき百件オーダーのスロットを要す ることが分かった.これに対し,本研究の設計では数件オーダーにまでコンパク トにすることができることが分かった.

システムの実装後,2〜5行で構成される文章10件について推定実験を行い,本システム の動作を確認した. 本研究で重要な語彙知識については,144件の作成を試行したところ,前後状態 でオブジェクトの価値変化が明確になる動詞については有効であることが確認さ れた.

以上より,人物補完型情緒推定の基本手順と知識ベースの設計を行うことができ た.



平成22年2月11日