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目次
本システムは下記の通り動作確認することができた.
そのいくつかの確認例を示す.
- テスト1
1. 太郎は花瓶を買いました。
2. 花子は花瓶を太郎から借りました。
3. 花瓶が壊れました。
- 文脈情報:
before_good(person(_, _, '花瓶'),'花瓶').
after_bad(person(_, _, '花瓶'), '花瓶').
person('花子',user, '花瓶').
person('太郎',owner, '花瓶').
superior(person('太郎',owner, '花瓶'), person('花子',user, '花瓶')).
- 出力情緒:
= '花子', = '花瓶', = sad ;
= '太郎', = '花瓶', = sad ;
= '花子', = '花瓶', = disliking ;
= '太郎', = '花瓶', = disliking ;
= '太郎', = '花子', = anger ;
= '花子', = '太郎', = fear ;
( = 情緒主, = 情緒対象, = 情緒名)
テキストの3文目において『花瓶』に関わる人物の情緒を推定した.テキストの1,
2文目で登場した『太郎』と『花子』を情緒主と想定し,それぞれの『花瓶』に
対する情緒を示すことができた.また,2者間の関係によって推定された情緒も
出力されている.以上により,正しく動作していることが確認できた.
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- テスト2
1. 豊臣秀吉は400年以上前に城を築いた。
2. 残念ながら雨風が城を損傷させてしまい,
3. 今では昔と大きく変わってしまった。
- 文脈情報:
after_bad(person(_, _, '城'),'城').
before_good(person(_, _, '城'),'城').
person('豊臣秀吉', owner, '城').
- 出力情緒:
= '豊臣秀吉', = '城', = sad ;
= '豊臣秀吉', = '城', = disliking ;
( = 情緒主, = 情緒対象, = 情緒名)
テキストの3文目において『城』に関わる人物の情緒を推定した.テキストの1文
目で登場した『豊臣秀吉』を情緒主と想定し,『城』に
対する情緒を示すことができた.歴史上の人物の情緒であるので,「悲しんだ」
とは確認できないが,情緒主にとって自分の物が「損傷した」とすると,「悲し
み」,「嫌だ」と理解するのが一般的であると言える.
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- テスト3
1. 一郎君は遮眼子を医者に返した。
2. 医者は遮眼子を消毒し,
3. また次の順番の人はそれを使って
4. 視力検査を行なった。
- 文脈情報:
after_good(person(_, _, '遮眼子'),'遮眼子').
before_bad(person(_, _, '遮眼子'),'遮眼子').
person('医者', owner, '遮眼子').
- 出力情緒:
= '医者', = '遮眼子'', = joy ;
= '医者', = '遮眼子', = liking ;
( = 情緒主, = 情緒対象, = 情緒名)
テキストの2文目において『遮眼子』に関わる人物の情緒を推定した.テキストの1文
目で登場した『医者』を情緒主と想定し,『遮眼子』に
対する情緒を示すことができた.「消毒する」ことによって『医者』は
使用済みの『遮眼子』をまた使用することができるようになったと考えると,「喜び」
,「好ましい」と想定できる.なお,『医者』の他に『一郎君』と『(次の順番
の)人』もこの文章で登場しているが,『一郎君』は『遮眼子』を返し終わって
いるので,その時点で使用者ではないため,情緒主から対象外となる.また,
『人』は消毒後に使用動作が行なわれているため,情緒推定を行なっていなかっ
た.しかし,3文目に「それ = 遮眼子」とあるように対象のオブジェクトを使用
している文があるので推定をするのが望ましいと考えられる.どの時点で情緒主
を想定するかを判断するのも今後の研究で考えていきたい.本研究では,オブジェ
クトが変化した時点の情緒推定を行なっているので,今回の件については,想定
通りの出力結果と言える.
平成22年2月11日