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言語の意味理解の1つとして,文章から話者や登場人物の情緒を推定する技術の実現が期待されている.情緒推定の
手がかりとして,文末表現が役立つ可能性がある.
日本語の表現は命題表現と文末表現で構成されているが,徳久の方法[1]は,命題表現のみから情緒を推
定する方法であるため,文末表現を考慮した柔軟な推定ができないという問題がある.そこで,本研究では「命題表
現から推定される情緒」,「文全体から推定される情緒」,および,「文末表現」の3者の関係を調査し,文末表現
による情緒性の変換規則を作成する.
方法として,情緒と文末表現の注釈が付いた対話コーパス(29,537文)を用意し,そのコーパスより「命
題表現から推定される情緒」,「文全体から推定される情緒」,および,「文末表現」の3者を得る.そして,この
3者の組合せを,集計することによって,文末表現における情緒性変換の6種の各傾向値,〈保持〉,〈反転〉,
〈共起,想像〉,〈共起,Po〉,〈共起,Ne〉,〈その他〉を算出する.最後に,傾向値より情緒性の変換規則を割
り当てる.
結果,情緒性の変換として53件の文末表現が分類できた.
takumi shirayanagi
平成22年2月11日