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概要

音声合成の手法の1つとして音節波形接続型音声合成[1]が提案され ている.この手法は録音音声から音節を単位とし,条件が一致する音節素片を切 り出し,信号処理を加えずに接続することで自然性の高い音声を合成できる.音 節波形接続型音声合成において,音節境界位置が記載されているラベルを元に音 節素片を切り出しているが,接続時に波形が滑らかに接続するように人手で調整 しなければならない.この原因は,ラベルが波形接続用ではないため,波形が滑 らかに接続できる位置に正確に記載されていないという理由である.

そこで,本研究では自動化方法を提案する.提案方法は,音節境界位置を音節 素片のパワーが最大となる周波数の初期位相が0となる位置とする.これは,音 声波形の傾きが0となる音節境界位置で音節素片を接続することである. 提案方法によって,音節境界位置を波形が滑らかに接続する位置に決めることが できる.

提案方法を用いて合成音声を作成し,音声品質を調査する.音声品質を評価する ために,聴覚実験ではオピニオン評価実験と対比較実験を行った.その結果,聴 覚実験におけるオピニオン評価において,提案方法で作成した合成音声は3.95と いう結果が得られた.これに対し,従来のラベルによる音節境界位置から作成し た合成音声は3.65であり,人手で音節境界位置の調整を行い作成した合成音声は 4.19であった.対比較実験の結果では,提案方法で作成した合成音声は,従来の ラベルによる音節境界位置から作成した合成音声と比較して64.4%,人手で音節境 界位置の調整を行い作成した合成音声と比較して34.8%の音声が良いと判断され た.実験結果より,提案方法で作成した合成音声は従来のラベルによる音節境界 位置から作成した合成音声より高い音声品質が得られた.



平成21年5月25日