そこで,本研究では自動化方法を提案する.提案方法は,音節境界位置を音節 素片のパワーが最大となる周波数の初期位相が0となる位置とする.これは,音 声波形の傾きが0となる音節境界位置で音節素片を接続することである. 提案方法によって,音節境界位置を波形が滑らかに接続する位置に決めることが できる.
提案方法を用いて合成音声を作成し,音声品質を調査する.音声品質を評価する ために,聴覚実験ではオピニオン評価実験と対比較実験を行った.その結果,聴 覚実験におけるオピニオン評価において,提案方法で作成した合成音声は3.95と いう結果が得られた.これに対し,従来のラベルによる音節境界位置から作成し た合成音声は3.65であり,人手で音節境界位置の調整を行い作成した合成音声は 4.19であった.対比較実験の結果では,提案方法で作成した合成音声は,従来の ラベルによる音節境界位置から作成した合成音声と比較して64.4%,人手で音節境 界位置の調整を行い作成した合成音声と比較して34.8%の音声が良いと判断され た.実験結果より,提案方法で作成した合成音声は従来のラベルによる音節境界 位置から作成した合成音声より高い音声品質が得られた.