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おわりに

本研究では,従来の情緒推定手法の問題点である 過剰な推定を抑制するために,判断条件の成立と不成立を 機械学習した「判断情報知識ベース」を構築した. 本知識ベースの構築に必要な原因文は, Kawaharaらの 5億文Webコーパスから,言語モデルを用いて抽出を行った.抽出の結果, 13,175文の原因文集を獲得した.そして,獲得した原因文集 を用いて,本知識ベー スの構築を行った結果, 10,323件のレコードを収録する知識ベースを構築することができた.

その後,情緒推定に本知識ベースを用いる本手法の評価を行うために, 5分割クロスバリデーション法を用いて 情緒推定実験を行った.実験の結果,誤り出力数は2813から419まで減少 し,情緒推定の適合率は56%から最大67%まで上昇することを確認した. 以上から,情緒推定に本知識ベースを用いることは, 過剰な推定の抑制に有効であることを示すことができた. しかし,再現率は従来の手法より低下していることが分かった.

再現率低下の主な原因は,本知識ベースのデータ不足である. それは,本知識ベースに頻度1のデータが67%含まれていることから 分かる. したがって,さらに多くの原因文を獲得し, 本知識ベースの規模を拡大させることが必要である.

また,本知識ベースの構築に利用する原因文としては不適当な 原因文が存在していることを確認した.獲得した原因文については, 今後クリーニング作業が必要である.

今後の課題は,本知識ベースの規模拡大と,原因文のクリーニング作業である.



平成23年3月9日