図4.7において,日本語パターンの様相関数「.
joutaihenka.kako」は,英語パターンの記述「got」と対応している.
日本語パターンの形容詞変数AJに様相関数が付されている限り,このパター
ンが句パターンとして照合されることはない.
しかし,この事例では,様相関数を日本語句パターン記述から削除してしまうと,
日本語パターンと英語パターンの間で対応がとれなくなってしまう.
同様の事例は,形容動詞句においてもみられる.形容動詞句の例を図
4.8に示す.
図4.8において,日本語パターンの様相関数「.nisuru」は,英語 パターンの字面「make」に対応している. この例でも,様相関数「.nisuru」の削除は,日英句パターン間での対応を取れな くしてしまう.
従来,句パターンは,句パターンに照合された部分の外部の情報を必要とせずに, 句パターン対の記述のみを用いて句の翻訳が可能であるように作成されている. 形容詞句,形容動詞句においても,様相関数は句の外部の情報とすることによっ て,句パターン対のみを用いて句の翻訳が可能だと考えられていた. これら形容詞句と形容動詞句の例は,様相関数を句パターンに含めないと,句パ ターン内部の記述のみでは句の翻訳精度を低下させる可能性を示唆している. しかしながら,日本語パターンの様相関数全てが英語句パターンの内部に対応を持 つ訳ではなく,様相関数をどのように処理すれば翻訳精度を向上させられるか, 現段階では判断が付かない.よって,本研究においては,句パターン辞書の様相 関数は,削除せずにそのまま残すこととする.