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関連研究

自然言語処理における情緒理解の研究内容を以下に示す.
  1. タグ付きコーパスの構築
  2. 情緒推定用の知識ベースの構築
  3. 情緒推定プログラムの作成
  4. 情緒推定の評価実験

タグ付きコーパスには,対話行為タグ付きコーパス[2]がある. [2]は,コーパスに心的状態を表す対話行為タグを付与している.対 話行為タグは,行為タイプと対象タイプの組合せで定義されており,全51種類で 定義されている.

知識ベースには,情緒属性付き結合価パターン辞書[4]がある. [4]は,日本語の主要な用言の語義を類型化した結合価パターンの 内,情緒を示すパターンを抽出し,情緒属性の付与を行っている.情緒属性は, 「情緒主」,「情緒対象」,「情緒名」の3項目をまとめた呼称であり,情緒名 は9種類定義されている.

情緒推定プログラムとは,情緒推定を行うテキスト文を入力することで,テキス トから推定される情緒を出力するものである.[9]では,以下の動 作をする情緒推定プログラムがある.

  1. 入力文を形態素解析
  2. 意味属性制約を付与
  3. プログラムによる入力文と文型パターンとのパターン照合
  4. 意味属性制約を満たしているかどうか判定
  5. 情緒属性の付与
  6. ヒューリスティクス[9]を用いて絞りこみ
  7. 結果を表示
意味属性制約とは,パターン内の名詞変数に適合する意味的な領域である.ヒュー リスティクスは適合したパターンの選択に用いられる.

情緒推定の評価実験は,話し手の込めた感情と,聞き手が推定した話し手の感情 の関係を分析した結果に対する妥当性の評価[7]や,接続表現を考慮し た情緒推定[8]などがある.妥当性の評価では,評価実験の被験者 が,話し手の作成したテキストを読み,感じとれた口調の程度を「やわらかい」, 「中立」,「きつい」の中から選ぶ.話し手は3つの口調の程度を考慮してテキ ストを作成しているため,話し手の意図した口調の程度と被験者が感じとった口 調の程度の一致率を求める.接続表現を考慮した情緒推定では,接続詞の前部分 もしくは後部分に注目してもう一方の情緒の極性を推定することと,前部分もし くは後部分のみに注目して情緒の極性を推定することがある.情緒の極性には, 「Positive」,「Negative」,「PositiveもしくはNegative」,「情緒なし」が あり,以上4つの中から選択して推定する.



平成21年3月31日