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概要

統計翻訳は,異なる文法構造間の翻訳において,低い翻訳精度を得る傾向がある.異なる文法構造間の翻訳は,翻訳する言語から目的言語へ大きく文法構造が変化するためである.異なる文法構造間の翻訳精度を向上するために,例えば,日本語の文法構造を英語の文法構造に変換して統計翻訳を行う方法が存在する.それは,構文解析を用いた文法構造の変換である.構文解析を用いて翻訳する言語の文法構造を変換することは,翻訳精度が向上する傾向があるという報告がある.しかし,構文解析を用いず,動詞を移動して翻訳する言語の文法構造を変換した結果,翻訳精度が向上するという報告がなかった.

そこで,本研究では,日英統計翻訳において,翻訳精度を向上するために,形態素解析を用いた日本語文法構造の変換を行った.具体的には,日本語の動詞を主語の後に移動して,文法構造を変換し翻訳を行った.実験の結果,通常の日英統計翻訳と比較して,翻訳精度がわずかに向上した.このため,形態素解析を用いて文法構造を変換することは有効であることがわかった.

今後は,文法構造の変換による翻訳精度を向上するために,動詞として認識されない動詞や重文複文への対応や主語の曖昧性を考慮する必要がある.


平成21年3月19日