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判断条件の種類

判断条件は,結合価パターンの用言の語義が示す感情的な特徴が成立する為の 前提条件である.図2.3に判断条件の種類を示す.下位の判断条件は 上位の判断条件を引き継いでいる.最上位の判断条件として「生理」, 「心理」,「その他」,「不要」があり,「心理」の下位の判断条件として 「目標実現」と「対人関係」がある.判断条件の語尾に付属している「近」と 「離」は,判断条件の二者の方向性(「接近」と「解離」)を示している.

図 2.3: 判断条件の種類
\begin{figure}\centering
%\footnotesize
\begin{tabular}{l} \hline
{\bf 生理}\...
... 不要}\\ [3pt]
\hline
\end{tabular} \vspace{0mm}
%\vspace{5mm}
\end{figure}

以下にそれぞれの判断条件の意味を述べる.

生理・近
格要素同士の関係が生理状態に関係するもので, かつ「接近」の関係を示す場合に使用する
生理・離
格要素同士の関係が生理状態に関係するもので, かつ「解離」の関係を示す場合に使用する
心理・近
格要素同士の関係が心理状態に関係するもので, かつ「接近」の関係を示す場合に使用する
心理・離
格要素同士の関係が心理状態に関係するもので, かつ「解離」の関係を示す場合に使用する
目標実現・近
格要素同士の関係が目標実現に関係するもので, かつ「接近」の関係を示す場合に使用する
目標実現・離
格要素同士の関係が目標実現に関係するもので, かつ「解離」の関係を示す場合に使用する
対人関係・近
格要素同士の関係が「接近」の 人間同士の関係である場合に使用する
対人関係・離
格要素同士の関係が「解離」の 人間同士の関係である場合に使用する
対人関係・近(上下)
格要素同士の関係が「接近」の 人間同士の関係で,かつ優劣関係にある場合に使用する




判断条件を付与されている本辞書のレコード例を 図2.4に示す.情緒原因<獲得>は, 情緒《喜び》が生起する原因の一つであり, 「目標実現に必要な物事を努力して手に入れた」という特徴を示す. 用言「貰う」の語義から,この特徴のうち「物事を手に入れた」ことは 保証できる.しかし,「目標実現に必要な物事」や「努力して」の部分 は保証されていない.そこで,不足している特徴を保証する為に, 判断条件「目標実現・近($ N$ 1,$ N$ 2)」が追加された[3].

図 2.4: 情緒属性付き結合価パターンのレコードの一例
\begin{figure}\centering
%\footnotesize
\begin{tabular}{l} \hline
◆結合価パ..
... \begin{flushright}
\end{flushright} \vspace{-8mm}
\vspace{5mm}
\end{figure}

ネステヌセ魴錣凌慎業縦蠅蓮ぐ貳名鐚韻砲茲辰胴圓錣譴襦ノ磴┐弌「アルバイトが給料を貰う」という文において,判断条件は 「目標実現・近(アルバイト,給料)」となる.この文で《好ましい》 が推定されるためには,「目標実現・近(アルバイト,給料)」を 「アルバイトは給料を必要としており,強く手に入れようとする 傾向がある」と暗に解釈し,常識的に認められる必要がある. こうした一般常識は,人間の場合は,日常生活で学習されるが, 計算機の場合は,一般常識をブログ等からで収集することで 学習することになる.



平成21年4月2日