例8は6つの個別解析が適用されず,デフォルト規則の「A係り」が出力さ れた例である.動詞で構成された連体修飾節Vに修飾される被修飾名詞は動詞 であらわされる動作の主体となるものが多く,「最大」のような名詞は係り先と なりにくいと考えられる.今回集めた約2,000件の名詞句の中に同じように名詞A に「最大」が来るものが7文あったが,全て正解の係り先は名詞Bとなっていた. 安井手法では,CBS方式の中で,係り先になりにくい名詞として数詞や時 詞に注目して解析しているが,それ以外にも係り先になりにくい名詞は幾つか 存在していることが考えられる.約2,000文の名詞句では,同様の性質のものとし て,「唯一」,「最小」,「初め」などがあり,これらも間違った係り先の判 定がされていた.