木に基づくクラスタリングの概説

木に基づくクラスタリング[2]は音響的特徴が類似したtriphone HMMの 状態集合に対して，音声の決定木に基づいて行う．本研究では始めに，2.1で示し た波形接続型音声合成において考慮する言語的な情報に対して，質問を用いるこ とで木に基づくクラスタリングを行う．クラスタリングにより状態分けされた音 節情報を基に，その音節情報を持つ単語をランダムに1つ選択する．最後に，選 択された単語の波形データを切り出し，接続することで音声合成を行う．

なお具体的なクラスタリングの手順については以下に示す．またクラスタリング の動作例を図9に示す．

1. 初期状態として，全ての状態をルートノードにまとめる．

2. 1に対して，$log$尤度が最大になるように親ノードの状態を分割する質問を 見付け，状態を分ける．

3. 全ての状態を共有したときの$log$尤度と，状態を分割したときの$log$尤度を 比較する．

4. 3において，$log$尤度の増加が閾値を下回れば決定木の構築を終え，下回ら なければ状態の分割を繰り返す．

5. 最終的な状態数が500になるように分割を行う．

図 9: 木に基づくクラスタリングの動作例