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はじめに

従来から言語の意味理解の1つとして,発話された文から話者や登場人物の情緒 を推定する技術の実現が期待されている. 言語表現から話し手の情緒を推定する手がかりとして,「情緒の生じる原因を表 す」,「情緒状態を表す表現」,「情緒的な反応を表す表現」があげられる. 情緒の生じる原因を表す表現については,情緒生起に関する情報を持つ表層表現 の辞書が必要となるが,この辞書は,結合価パターンへの情緒生起情報の付与 [5]により,提案されている. 情緒状態を表す表現は,日本語語彙大系の「感情動作」および「感情状態」とい う意味属性に分類されているが,「情緒主」,「情緒対象」,「情緒の種類」に 関する情報(情緒属性と呼ぶ)までは解析できない.

そこで,本研究では,感情動作および感情状態に属する結合価パターンに情緒属 性の付与を行う.このような分析は,用言の語義の解釈の仕方に強く依存して, 分析作業の揺れが生じやすい.そこで,手順を決め,分析を進めることが必要で ある.その手順にならい,再分析を出来るだけ回避する.

本論文の構成は以下の通りである.第2章で直接表現の分析,第3章で分析結果, 第4章で評価実験,第5章でまとめ,第6章で今後の予定を述べる.



平成18年5月2日