[1]で構築されているパターン辞書は,10万オーダーのパターンで構成されて いる.このパターン辞書では,「パターンに時制・相・様相の情報を与える関数」が入力文と一致しなければパ ターンが適合しない.今後,パターンの汎用性を向上させるには,これらの制約 を弱めること,日本語に顕著な語順の自由度を高めることなどが考えられる.パ ターン辞書の全面的な改良には大きなコストがかかるため,様々考えられる改良 項目の中でも,効果の見込まれる項目を行う必要がある.
そこで,本稿では「時制・相・様相を表す関数の汎化」,および,「要素の位置変更可能 の指定」についての効果を,「文型パターン拡大率」[2]を用 いて,汎化の効果について,定量的に評価する.
本稿の構成は以下の通りである.
第2章で被覆率調査における評価パラメータの
種類と評価パラメータの測定方法について述べる.
第3章で時制・相・様相の汎化と位置変更可
能記号の無効化について述べる.
第4章で汎化・無効化の効果の実験について,実験の目的,実験の方法,実験の
結果について述べる.第5章で汎化・無効化の効果について実験の結果を基に考
察を行う.第6章でまとめを述べ,今後の課題を提案する.