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はじめに

言語表現には,言語の意味が表現構造と独立に扱うことができないという 非線形の問題がある[1]. 等価的類推思考の原理に基づく日英機械翻訳では,翻訳対象とな る両言語の表現を「文型パターン」の対としておくことで, 意味の失われない解析・生成を実現しようとしている[2]. 文型パターンは,被覆率を向上させるため,様々な改良が施されてきた. その改良の1つとして,任意要素指定機能が文型パターンに追加されている.し かし,実際,被覆率の向上にどのくらいの効果がある機能なのか分かっていない.
    そこで本研究では,任意要素指定機能による被覆率の向上の効果を評価すること を目的とする.まず,文型パターンの被覆率の向上を推定するパラメータ $\eta $(文型パターン拡大率)を提案する.そして,現在使用されているパター ン辞書(基準辞書)から任意要素指定 機能を除き,$\eta $を実験的に求める. 文型パターンに任意要素指定機能を加えたことで,文型パターン辞書の規模が どのくらい拡大したかを,$\eta $の低下具合から測り,効果を評価する.
    本研究の構成は以下の通りである.2章では,文型パターンと任意要素を説 明する.3章では,現在提案されている被覆率の評価パラメータと,本研究で提案 する,文型パターンの被覆率向上を推定するパラメータ$\eta $について説明する. 4章では,任意要素指定機能の効果の調査方法と調査結果を示す. 5章では,実験の考察と,任意要素の付与基準の問題について述べる.



平成17年3月23日