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用言意味属性ごとの分布

結合価パターンは日本語の用言の語義を網羅的に収集しており,「用言意味属性」 という語義の分類コードが付与されている.このコードは36個あり,深さが4段 の木構造を形成している.

用言意味属性別に集計をして,第一稿から密度が急激に増加したもの上位7つを表21に示す.ここでA は当該意味属性をもつ結合価パターンの数を,Bはその中で情緒属性の付与され たパターンの数をそれぞれ表す.また,B/Aは密度を示す.




表 21: 用言意味属性別
用言意味属性 A 第一稿 第二稿 第三稿 密度の
    B/A B/A B/A 上昇度
13 心的状態 9 0.33(3) 0.44(4) 0.89(8) 0.56
35 開始 99 0.24(24) 0.31(31) 0.52(51) 0.28
23 身体動作 1,811 0.28(504) 0.33(602) 0.55(995) 0.27
24 利用 121 0.40(48) 0.57(69) 0.65(79) 0.25
12 思考状態 25 0.52(13) 0.56(14) 0.76(19) 0.24

ここで,密度が増加した〔13 心的状態〕の具体例を見る. 第二稿から第三稿で新たに4件の情緒を付与した. 4件の結合価パターンを詳しくみると,a)「$N1$(4人)が/の手をこまねく」 b)「$N1$(4人)が/の腕をこまねく」,c)「$N1$(3主体)が$N2$(1000抽象)に直面する」, d)「$N1$(3主体)が$N2$(1000抽象)に当面する」であった.

a)とb)は類似した用言である.第三稿の段階で付与した情緒属性は〈無計 画〉による《悲しみ》と共通のものであった. また,c)とd)の用言も類似性があり,〈思惑違い〉による《驚き》など共通してい た.第三稿の分析者が見落とすことなく修正の指摘ができていたといえる.



平成18年3月24日