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前提条件の付与

例として,第一稿で作成した「我慢する」の用言の結合価パターンの一つを挙げ る.付与した情緒属性は表3の通りである.


表 3: 第一稿「我慢する」
見出し語 :我慢する
意味属性 :感情動作
パターン $N1$(3主体)が$N2$(*)を我慢する
英語訳 $N1$ tolerate $N2$
情緒主 $N1$
情緒対象 $N2$
原因 :-
情緒名 :《嫌だ》

第一稿では,パターンの表層表現に基づいた付与を行ったため.変数$N2$の一般 名詞意味属性に従った情緒属性付与を行った.

しかし,名詞の意味属性だけでは最上位情緒特徴として《嫌だ》と判定すること は出来ても,下位特徴の分類の絞りこみが困難であった.

そこで,パターンの照合時に,文そのものより,文章中の文脈情報や 世界知識を使い,情緒の生起原因・状況を限定することに着目する.これによっ て下位特徴を決定することができ,正しい情緒生起原因を掴む事が可能となると考え られる.

3の例を用いると,a)「生理的に苦しい事を我慢する状況」と,b)「困難な 事,嫌な事を我慢する状況」の2つが考えられる.

a)の状況では前提条件に〈生理的〉に悪い状況を限定するための条件として〔内 的/外的な生理状態$Ph$が悪化〕を設ける.これによってパターンに原因〈生理的〉による《嫌だ》と付与することが可能と なった.

b)の状況では情緒主$N1$が〈制限〉されていることから,
1,〔情緒主$Fr$が目標$G$をもつ〕,
2,〔目標$G$はプラン$P$で実現可能〕,
3,〔情緒主$Fr$がプラン$P$をもつ〕,
4,〔行動$Ac$はプラン$P$に無益〕
の4つの条件を設ける.

これによって情緒生起原因を〈制限〉と絞りこむことができた.

よって表3のパターンは図7のように校正できる.

図 7: 第二稿の校正の様子
\begin{figure}\begin{center}
\begin{tabular}{ll}\hline \hline
見出し語 & :我慢ぎ..
...〈制限〉\\
情緒名 & :《嫌だ》\\ \hline
\end{tabular}
\end{center}\end{figure}



平成18年3月24日