Plutchikの多因子分析論[Plutchik 60]を基に《喜び》 /《悲しみ》,《好ましい》/《嫌だ》,《驚き》,《期待》,《恐れ》,《怒り》 の8種類の情緒を対象としている.たとえば,基本情緒のひとつ《喜び》の生起 特徴は「現状態は前状態よりも好都合である」であり,そこから「生理状態が好 都合である」と「心理状態が好都合である」に分類される.さらに幾つかの生起 特徴で下位分類され,最下位の特徴に辿り着く.例えば《喜び》の最下位のひと つ〈獲得〉の生起特徴は「目標実現に必要な物事を努力して手に入れた.」であ る.各情緒の最下位特徴をLLF(Lowest Level Feature)と呼び,8種の情緒のLLF は合計123種類定義されている.
《喜び》の情緒についての階層性は,図のようにフレームで表現
される.〈目標実現〉や〈実行結果〉という中位の特徴を,〈獲得〉や〈完遂〉
という最下位の特徴は継承している.すなわち,「目標実現に有効な物を獲得し
た」という意味の〈獲得〉の事態が原因となって,《喜び》が生起する.