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例題検討の成功例

第6.2節の例題検討で前提条件の成立を確認した対象文以外の成功例を以下に示す.

成功例(1)

[*]より,推定対象文:「当たったという通知が届いた」

図: 成功例(1)の日記
\begin{figure}\begin{center}
\begin{tabular}{l}
\hline
~~数ヵ月前に雑誌の懸賞に窺..
...だった。め\\
ちゃくちゃ嬉しい!\\
\hline
\end{tabular}\end{center}\end{figure}

前提条件に文脈情報を代入すると,次のようになった.

条件1:
〔(日記の著者)が目標$G$を持つ〕
条件2:
〔目標$G$ $(懸賞に応募する)_{プラン}$で実 現可能〕
条件3:
$(懸賞に応募する)_{プラン}$には $(当たったという通知)_{対象}$が必要〕
条件4:
$(当たったという通知)_{対象}$の入手は $(う
れしい)_{評価}$

目標が変数のまま残った.この例の対象文は第6.2節と同じ日記中 の文である.よって,第6.2節と同様に事象間関係DBを検索し,目 標にあたる用言「得る」を検索できた.その結果以下のように全て の条件の成立を確認できた.

条件1:
〔(日記の著者)が $(得る)_{目標}$を持つ〕
条件2:
$(得る)_{目標}$ $(懸賞に応募する)_{プラン}$で実現可能〕
条件3:
$(懸賞に応募する)_{プラン}$には $(当たったという通知)_{対象}$が必要〕
条件4:
$(当たったという通知)_{対象}$の入手は $(う
れしい)_{評価}$

この前提条件で裏付けられた情緒は〈獲得〉の《喜び》である.

成功例(2)
[*]より,推定対象文:「みんなに会う」

図: 成功例(2)の日記
\begin{figure}\begin{center}
\begin{tabular}{l}
\hline
~~恵子さんからメールが届ぎ..
...nderline{んなに会う}のが楽しみ!\\
\hline
\end{tabular}\end{center}\end{figure}

前提条件に文脈情報を代入すると,次のようになった.

条件1:
$(信哉さんとマヤちゃん)_{他者}$が存在する〕
条件2:
$(信哉さんとマヤちゃん)_{他者}$は信頼可能〕
条件3:
$(みんな)_{集団}$が存在する〕

条件1および3は正否確認タイプなので成立を確認できた.条件2に 対応する関係を事象間関係DBから検索した.「信哉さんとマヤちゃ ん」が信頼されているかを確認したい.

検索結果を下記に示す.

r1:
『彼は-落ち着いている』→『て〜,彼らに-信頼さ れている』

事象1の主語「彼」は男他称を意味しているので,ゆるやかに解釈 して「信哉さん」という男性に一致する.よって事象2の用言「信 頼されている」より条件2の成立を確認し,全ての条件の成立を確 認することができた.

この前提条件で裏付けられた情緒は〈出会い〉の《好ましい》であ る.捕捉として,この例では条件2の「信哉さん」は検索結果の 「彼」に対応すると仮定した.しかし,「信哉さん」や「マヤちゃ ん」といった固有名詞を「彼」や「彼女」などの不特定な人物を示 す一般名詞と対応づけることには不具合が予測される.これにつ いては今後の課題である.



平成18年3月20日