5.3節の試作コーパスの誤り傾向より,作業者による誤りのうち上位3つのが全体 の9割以上占めていた.このことから,コーパスの誤りの原因のほとんどが,コー パス作成者による注釈の関連付けの知識の不足であることがわかる.以下に上位 3つの誤りとその事例を示す.
(例)付録の校正前のコーパス2のターン1より
理由とした注釈:
〈プラン,魔法カードを買いに行く,採用〉
〈目標,魔法カードを買う,設定〉
〈信念-要求プラン,走ってカードを買いに行く,採用〉
〈プラン,走ってカードを買いに行く,採用〉
推定した注釈:
〈信念-評価,時間性,高い〉
考察:
「信念-評価」を推定するための注釈が不足している.「プラン」
から推定される「予測」を付与し,ルールベースにある注釈の関連付け
「プラン予測からの評価」により,「プラン」と「予測」から「信念-評
価」を推定する.
(例)付録の校正前のコーパス3のターン5より
理由とした注釈:
〈信念-認識,まる子は馬鹿である〉
推定した注釈:
〈情緒,嫌だ・非難,生起〉
考察:
「理由とした注釈」にbl-sa(認識の伝達)が不足している.
(例)付録の校正前のコーパス16のターン9より
理由とした注釈:
〈信念-プラン,お父さんをお抱え運転手にする,採用〉
推定した注釈:
〈プラン,お父さんをお抱え運転手にする,採用〉
考察:
「共同プラン」ではないので,対話相手の「要求プラン」以外の
「プラン」を「候補」にする推定するのはおかしいのでコーパスから削除
する。