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機械翻訳における問題点の一つに、言語表現の構造の曖昧性がある。日本語では特
に、名詞句の構造が曖昧である。これまでの名詞句の研究としては、並列型
名詞句における形容詞の係り受け解析[1]、助詞「の」が結ぶ名詞の意味関係の解析[2]、フレーム構造を用いた名詞句「AのB」の意味解析[3]などがある。しかし、動詞に修飾される名詞への係り受け解析方法が提案されていない。
そこで本研究では、「動詞+名詞A+の+名詞B」の名詞句において、動詞が名詞AかBのどちらに係るのかを決定する方法を考案し、その精度を評価する。
具体的には、動詞に対する結合価パターンに名詞が当てはまるかどうか調べ、動
詞節の係り先を決定する手法である。
本手法を検討するため、95年度版毎日新聞データ1年分より抽出した500文、機能
試験文集と基本語用例辞典より抽出した200文の、計700文に対して適用したところ、
76%程度の正解率を得、修飾される名詞をある程度絞り込めることが分かった。ま
た、結合価パターンが存在しないものや、どのパターンにも当てはまらないものに
対して、独自の結合価パターンを作成し、適用したところ、95%の文について正し
い名詞が係り受け先として選択された。
本論文では以下、第2章に係り受け解析について、第3章に評価について、第4章に結果について、第5章に考察について、第6章に結論を述べる。
平成14年2月28日