そこで本研究では,対象を形容詞に修飾された名詞に限定し,形容詞と名詞の意 味的関係から名詞の訳語を決定する方法を考案し,本手法の有効性を検討する. 本手法を検討するため,アンカー和英辞典の1054文中頻度の高い形容詞を含む 343文と機能試験文集と基本語用例辞典より抽出した200文中頻度の高い形容詞を 含む79文に適用したところ,アンカー和英辞典では80%以上の文の名詞について 正しい訳語が選択されることが分かったが,機能試験文集と基本語用例辞典では 30%程度の文の名詞にしか,正しい訳語が選択されなかった.しかし,翻訳 規則作成段階で今回新たに作成した和英辞書に登録されていない名詞を登録する ことにより,70%程度の文の名詞について正しい訳語が選択されると考えられる.
本論文では以下,第2章に「形容詞+名詞」を含む文の分類について,第3章に 翻訳規則の作成について,第4章に実験について,第5章に考察について,第6 章に結論を述べる.