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結論

「形容詞+名詞」に対して,名詞と形容詞の意味的関係に着目し,「形容詞+名 詞」を含む文を日本語表現と英語表現の対応関係により分類して,それぞれの分類 に対する翻訳規則を作成することにより名詞の訳語を選択する方法を提案した.

3章で作成した翻訳規則を分類に使用したアンカー和英辞典1094文中頻度の 高い形容詞を含む文343文と機能試験文集と基本語用例辞典より抽出した20 0文中頻度の高い形容詞を含む文79文に適用したところ,次の結果を得た.な お,ルールを用いた場合どのくらいの効果があるのかを調べるため,訳語として 辞書の先頭に着ている単語(デフォルト訳語)で評価を行った結果も表に示す.

実験結果

\includegraphics[height=5cm,width=9cm]{kekka8.eps}

上記の表において,ルールを用いた場合,標本内テストでは約85%の文の名詞 について正しい訳語が選択でき,デフォルト訳語を用いた場合より約30%の向 上が見られた.また,候補の中に正解を含む場合,平均多義数は6.85 $\rightarrow$4.19に減少した.

標本外テストでは,約30%の文の名詞についてしか正しい訳語が選択できなかっ たが,ルールが適用できた文についてはデフォルト訳語を用いた場合より約25 %の向上が見られた.また,候補の中に正解を含む場合,平均多義数は9.42 $\rightarrow$5.25に減少した.

また,220Dで*となった文は,本研究で新たに作成した和英辞 書に名詞が登録されていないためにルールが適用できなかった.これについては 名詞を登録することにより◎,○,△,×のいずれかに評価できると考えられる. 以上のことより,名詞と名詞を修飾する形容詞との意味的関係から訳語候補を4〜 5個程度に絞って選択できることが分かった.今後の課題としては, 次の点が考えられる.

(1)標本内にない名詞の取り扱い

本研究で作成した和英辞書にはよく使用される名詞でも登録されていないものが 多く,数も不十分であるので頻度の高い名詞についてあらかじめ登録しておくこ となどが対処法として考えられる.

(2)形容詞以外の用言の考慮

本研究では名詞を修飾する言葉を形容詞と限定したが,形容詞以外の用言(動詞, 形容動詞)と名詞との意味的関係についても調べていき,訳語選択を行う際に考 慮する必要があると考えられる.

謝辞

本研究において一年間指導して頂いた鳥取大学知能情報工学科計算機C工学講座 の池原教授と村上助教授にお礼申し上げます.また,本研究に使用させて頂いた 論文や本の著者の方々,sample_jawsを提供して頂いたCS基礎研究所の方々にも お礼申し上げます.



2001-02-25