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翻訳規則の作成

翻訳規則を以下の順に作成する。

(1) 8種類の英語表現形式ごとの規則を作成

名詞A,Bを名詞の種類,意味属性,7種類の意味的関係で分類し, 翻訳規則を作成

する。

ただし,名詞句「AのB」の名詞が時詞であるものや場所を表すもの は,表現形式が

多様であり頻度も高いため,個別に時詞の規則,場所の規則を作成 する。


(2) 全体の正解率が高くなる順に各表現形式の規則を適用する。


以上の結果,72種類の翻訳規則を作成した。以下に翻訳規則の一例を示す。


翻訳規則の例

Aの名詞が人称代名詞であれば英語表現形式は「A's + B」となる

例 : 「私の父」 → 「my father」

AとBが同格を表す場合,英語表現形式は「A + B」となる

例 : 「娘の恵美」 → 「daughter Emi」

BがAの場を表す場合,英語表現形式は「B of A」となる

例 : 「公園の中央」 → 「center of park」


(1)8種類の表現形式ごとの規則を以下に示す。また,(2)翻訳規則の流れ図を図4に示す。

(a)「A's + B」型


1.A:所有代名詞

2.A:固有名詞(名字,名前)

3.A:うち

4.A:人,動物


(b)「B of A」型


1.BがAの所属

2.BがAの場(縁,底,天井を含む)

3.A:人 B:感情(喜び,悩み,…)

4.A≠人 B:人間活動

5.「AがBする」といえる

6.B:形容詞転生名詞(強さ,速さ,…)

7.B:五感に関する語(匂い,味,音,感覚,声)

8.B:法則,知識,芸術,習慣

9.A:学問名 B:研究,勉強

10.B:重み

11.B:危険

12.B:名前

13.B:値段,価値


(c)「A + B」型


1.BがA(無生物,木)の一部

2.AとBが同格

3.AがBの種類(一般名詞 + 一般名詞)

4.AがBの材質である

5.A:乗り物(電車,飛行機,バス,船),サービス B:料金,予約,運行,便

6.A:スポーツ B:試合,選手,シーズン

7.A:学問名 B:授業,時間,講習,補習,試験,先生,教科書,ドリル

8.B:会,集会

9.B:仲間,成員

10.B:季節

11.B:事情(都合,事情)

12.B:故障


(d) in型


1.物理的な場所を表す表現を含む(「〜の中」という意味をもつ) A:写真

2.A:身体的な場所(手,足) + B:病気,怪我,痛み,傷口

3.A:抽象的世界(世界,社会)


(e) on型


1.A(の上)のBという意味を含む場合 Aの名詞に「上」がつく(地上,屋上,路上)

2.A(専門的な内容)に関するBである場合

A:研究対象になりうる語 + B:本,研究書,報告,報道,記事

3.BがAに掲載されている場合 A: リスト,名簿,表など + B:名前,人物,金額,数字など

4.A:体の一部 B:傷

5.A:壁

6.A:電話 B:声


(f) for型


1.AのためのBの意味となる場合 (a)・AがBの目的,対象を表す

B:才能,能力,素質,天分 (b)・準備の意味を表す

B:準備,計画,必要

2.Aに対するBの意味となる場合 B:責任,償い(報い,報酬)

B:代理,代用の意味の語


(g) 形容詞型


1.Aの名詞に形容詞形が存在


(h) 単語型


1.辞書検索により「AのB」という単語があるか調べる


(i) 時詞を含む場合


1.A : 時詞(きのう,今日,明日,週がつく,年がつく,朝 がつく,夜がつく)

+ B : 時詞でない → 「A's + B」

2.A : 時詞(日,曜日,特定の日) + B : 時詞でない → 「B on A」or 「A + B」 3.A : 時詞(月,年,季節,午前,午後) + B : 時詞でな い

→ 「B in A」or 「A + B」

4.A : 次 B : 文 → 「following + B」

A : 次,次回 B : その他 → 「next + B」

A : 今回 B : 時詞でない → 「this + B」

5.Aの名詞に形容詞形がある → A(形容詞形)+B

6.A : 時詞 B : 時詞でない → 「A + B」

7.A : 時詞 + B : 時詞 → 「A + B」

・Aが今年,去年,来年 Bが季節を表す場合

「this + B」,「last + B」,「next + B」

・Aが先週,今週 ,来週 Bが曜日を表す場合

「last + B」,「this +B」,「next + B」

8.A : 時詞でない(≠人称代名詞,固有名詞) + B : 時詞 → 「A in B」

+ B : 未来,将来 →「B of A」


(j) 場所を含む場合


1.A : 国名 + B : 人 → 「Aの形容詞形 + B」

2.A : 国名 + B : 施設 → 「Aの形容詞形 + B」

3.A : 場所 + B : 人(地位) → 「B of A」

4.A : 地名 + B : 地名 → 「B in A」

5.A : 国名 + B : その他 → 「Aの形容詞形 + B」

6.A : 都市 + B : 施設 → 「B in A」

7.A : 都市 + B : 人 → 「B in A」

8.A : 都市 + B : その他 → 「B of A」

9.A : 場所 + 場(方角,境,中心) → 「B of A」

10.A : 場所 + 植物,動物 → 「B in A」

11.A : 場所 + Aの一部 → 「B of A」

12.A : 場所 + サ変動詞型(1220) → 「B of A」

13.A : 区域施設(庭園,動物園,植物園,遊園地) → 「B in A」

14.A : 〜の近くに,〜の側に,〜に沿って,〜に面しての意味を含む場合

15.A : 海,湖,川,池についての上のような意味を含む語 (浜辺,湖畔,土手,

岸辺,など) → 「B on A」

16.A : 家屋(本体)・部屋 居住施設 + B : 具体物 → 「B in A」

17.A : 家屋(本体)・部屋 居住施設 + B : 人 → 「B of A」

18.A : 施設 + B : 壁 → 「B of A」

19.A : 施設 + B : その他 → 「B of A」

20.A : 場所 + B : 人 → 「B in A」



  
Figure: 翻訳規則の流れ図
\includegraphics{rule.eps}


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kenji miyamoto
2001-03-19