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結合価文法による日英機械翻訳において,結合価パターンの表す用言と格要素
の意味的関係が,動詞と名詞の訳語選択に有効であると考えられている.しか
しその効果はまだ検証がなされていない.
本研究では,動詞と名詞の訳語選択における,結合価文法の効果を定量的に検
証する.評価対象は,IPAL辞書に登録されている基本動詞と基本名詞に関す
る対訳(単文)とする.
結合価文法を用いた翻訳システムにALT-J/Eを用いて翻訳し,その結果と対
訳英文を比較したところ,基本動詞および基本名詞の正解率は,それぞれ89%
および91%であった.この正解率はパターン決定の際に頻度情報が用いられ,人手で一意
に決定できないものについても正解する場合が有ったと考えられる.しかしそ
の結果も訳語選択の基本に結合価文法を用いているので,それも含めて結合価
文法の訳語選択能力の評価とした.
また失敗例の解析から,パターンの拡充などにより動詞について約
9-10%,名詞について約3%の精度向上が見込まれると推測される.よって動詞
98%,名詞94%が
結合価文法を用いた訳語選択の限界と推定される.
平成15年5月19日