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機械翻訳において、複数の訳語を持つ語を翻訳するとき、その訳語の選択の方法
が問題となる。例えば『落ちる』という動詞を英訳する場合、「木から落ちる」
という時は『fall』を「汚れが落ちる」という時には『remove』を用いる。
しかし計算機にそれをどのように使い分ければ良いか判断できない。
そこで用言と格要素(名詞+助詞)の意味的関係を記述することにより、
訳語を絞り込む結合価文法が開発された。
しかし結合価文法がどの程度効果があるかは、
今までに検証されていない。
そこで、本研究では結合価文法を用いることによって、どの程度
動詞の訳語の精度が上がるかを結合価文法を用いなかった場合と比較し評価する。
また結合価文法が効果がなかった場合について考察し、
その有効性の限界を調べる。
本研究ではIPALに登録されている基本動詞の標準的な用法の単文の
例文について、結合価文法の効果がどの程度あるか検証した。
実験の結果、結合価文法を
IPALの動詞の例文1111文に対して用いた場合、89%の例文について
意味的に正しい訳語を導き出すことができた。
この値は結合価文法を用いなかった場合の58%に比べ、
31%も良い値で、結合価文法が訳語選択に効果があると言える。
また間違った訳を出した11%の文についても、未登録の結合価パターンを登録し、形態
素解析、係り受け解析、時制の決定などのシステムが改善されれば結合価文法
によって訳し分けることができることがわかった。
また同じ結合価パターンで2つの訳語が必要な文につ
いては、効果がないこともわかった。
2001-03-23