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まえがき

近年、計算機の性能と共に、連続音声認識の技術は飛躍的に向上しており、音声 認識は様々な分野で用いられている。

音声認識はデコーダ、音響モデル、言語モデルにより構成されている。言語モデ ルは主に、$N$-gram、HMM等の統計的な手法によるものと、ネットワーク文法、 文脈自由形文法等の規則 によって制約するものとがある。規則よって制約する言語モデルは、規則の生成を 人手により行うためその生成は困難であり、まだ規則は確定されおらず、非文を 出力しやすい傾向がある。そのため、現在の音声認識はその精度から統計的な手 法の一つである単語$N$-gramが広く用いられている。しかし、単語$N$-gramは表 層的な制約のみを用いており、意味的な制約を用いていないという問題点がある。

そこで本研究では、結合価パターンが格要素と用言に意味的な制約効果を持 つ点に着目した。しかし、結合価パターンは全ての要素に対して制約効果を持つ 規則ではないため、結合価パターンのみを用いた言語モデルでは問題がある。こ のことから、認識率の高さと構造の単純性により現在広く用いられている統計 的手法による言語モデルの後処理として、結合価パターンを用いた二種類の手法を 提案する。具体的には、結合価パターンに一致した格要素の数を用いて絞り込む 手法と、結合価パターンに一致した格要素の名詞意味属性の制約の強さを用いて 絞り込む手法である。

以下第2章では結合価パターンによる意味的制約について、第3章では候補文生成について、第4章で今回提案する手法について、第5章で 実験について、第6章で実験結果と考察、第7章でまとめを述べる



平成14年5月1日