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概要

現在の連続音声認識は言語モデルとして単語$N$-gramを用いており、単語認識率 は90%以上にも達している。しかし、単語$N$-gramは表層的な制約のみを用いて おり、意味的な制約を用いていないため、まだ改善の余地がある。

そこで本研究では、結合価パターンが格要素と用言に意味的な制約効果をもつ点 に着目し、結合価パターンを用いた二種類の候補文の絞り込みの手法、「最多格 要素一致による絞り込み」と「最多格要素一致と意味属性得点による絞り込み」 を提案し、その効果を検証した。

単一の名詞からなる格要素と終止形の用言により構成される単文50文から、音声認識 ソフトウェアによって得られた候補文に対し、二種類の絞り込みの手法を適用させ た結果、「最多格要素一致による絞り込み」では、成功率94.0%、平均削減率 96.1%、「最多格要素一致と意味属性得点による絞り込み」では、成功率78.7%、 平均削減率99.3%を得た。

結果より、音声認識の後処理として、結合価パターンを用いた候補文の絞り込み の有効性を確認できた。



平成14年5月1日