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結合価パターン

用法に依存した英語時間表現を正しく翻訳するためには, 前もって用法を知っておく必要がある. そこで,本稿では,結合価パターンを用いて用法の推定を行い,得られた 情報をもとに英語時間表現を修正する.

結合価パターンは,名詞と用言の関係を記 述したものであり,文法的,意味的な情報を含んでいる.本稿では,日本語語彙 大系[4]に掲載されている「構文意味辞書」の結合価パターンを使用する.一般の文 型と慣用的表現の文型をあわせて約14,800件の日本語文型パターンにまとめられ ている.以下の表5に結合価パターンの例を示す.


表5:結合価パターンの例
属性変化(動作 N1(962 機械)が
受け身不可) N2(*)で/から疲れる
N1 be fatigued with N2
身体変化(状態 N1(4 人 535 動物)が
受け身不可) N2(*) で疲れる
N1 get tired of N2
属性(状態 N1(4 人 535 動物)が
受け身不可) N2(*)で/に 疲れるている
N1 be tired from N2


結合価パターンには,意味属性と,その用言が持つ日本語の文型パターンを示 し,対応する英語の文型パターンが記載されている. 意味属性の右側には,変形情報が``()''で囲って示してあ る.変形情報とは,英語の文型パターンが進行形,受け身形に変形しうるのかを示している. (動作)が進行形可,(状態)が進行形不可を表す.また,特定の助動詞をともなっ て英語の文型パターンが変化する場合には,助動詞を小書きにして後ろに付記し てある.

この結合価パターンでは,格要素の名詞の代わりに一般名詞意味属性で記述されて いる.一般名詞意 味属性とは,名詞の意味的用法を整理,体系化したシソーラスである.

なお,結合価パターンの選択には,格要素が最も多く一致したパターンを選択する.


平成13年11月22日