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動詞分類

テンス・アスペクトは,動詞の語彙的内容とも深く関わっているため,動詞の 分類が必要となる.本稿では,従来の分類法 [5] を参考に,動詞を時間的性質から状態動詞,動作動詞,変化動詞に分類する.

表1: 動詞分類表  
動詞の種類  
状態動詞 ある,いる  
  内的動作動詞 思う,考える  
動作動詞 外的動作動詞 走る,書く  
変化動詞 着く,終わる  


状態動詞は,存在や属性など,主体の状態を表す動詞である.動作動詞 は,主体の動作を表す動詞である.動作動詞をさらに思考や感覚など人の内的な事象を 捉える内的動作動詞と,「走る」や「飛ぶ」のように人や物の動態的な運動を捉 える外的運動動詞に分類する.変化動詞は,主体の変化を表し,運動終了後,主 体の状態が変わる動詞である.

3節で述べたS,E,Rの関係は,動詞の時間的性質に依存している.さきほど分類した動詞そ れぞれに対する時 間関係規則を以下に示す.なお「*」は,すべての動詞にあてはまることを示し ている.

1.[ル形]
状態動詞,内的動作動詞 : S=R=E
外的動作動詞,変化動詞 : S=R=E or S→R=E



(例文3) ここに本がたくさんある.
$<$状態動詞$>$

(例文4) 私は君の成功を祈る.
$<$内的動作動詞$>$


(例文5) 彼は50mを泳ぐ.
$<$外的動作動詞$>$

(例文6) 彼は、八時すぎに家を出る.
$<$変化動詞$>$

状態動詞のル形は,現在の状態,内的動作動詞のル形は,現在の思考・感情を表して いる. 例文3では,「ある」という現在の状態,例文4は,現在の思考を発話時から捉えてい る. 例文5,6のように外的動作動詞・変化動詞がル形をとると,現在,または未来の事象を表す.


2.[タ形]
* : E=R→S


(例文7) 彼らは彼のことを笑った.
$<$動作動詞$>$

状態動詞のタ形は,過去の状態,動作動詞,変化動詞は,過去の動作などの過去の出来事を,事象時 から捉えている.例文7では,「笑った」という過去の事象を,その時点にさかの ぼって捉えている.


3.[テイル形]
動作動詞 : E(P)=R=S
変化動詞 : E→R=S


(例文8) 彼は本を読んでいる.
$<$動作動詞$>$
(例文9) 窓が開いている.
$<$変化動詞$>$

動作動詞のテイル形は,現在進行中の動作,変化動詞では,過去に発生した動作を発 話時から捉えている.例文8では,発話時において進行中の「読む」という動作を 捉えている.例文9では,過去に発生した「開く」という事象の結果を発話時か ら捉えている.




4.[テイタ]形
動作動詞 : E(P)=R→S
変化動詞 : E→R→S


(例文10) 彼は本を読んでいた.
$<$動作動詞$>$



(例文11) 窓が開いていた.
$<$変化動詞$>$

動作動詞のテイタ形は,進行中の動作,変化動詞は, 完了した動作の結果を,過去のある時点から捉えている.例文10では,「読 む」という進行中の動作を過去のある時点から捉えている.例文11は,過去に発生 した「開く」という事象の結果を過去のある時点から捉えている.


5.[ル+ダロウ形]
* : S→R=E


(例文12) 彼女は必ず来るだろう.
$<$変化動詞$>$

動詞のル形にダロウがつくと,発話時点で事象が未然であることを推量の意味をこめて 表す.例文12は,発話時において未然の「来る」という事象を捉えている.


平成13年11月22日